2013年12月16日月曜日

Magic Key

次の目的地へと向かう列車の切符を買った。
ここバラナシ(ベナレス)からゴアの南に位置するゴカルナというアラビア海に面したビーチへと向かうのだけど、計45時間を超える長距離行で、その間ボンベイで15時間ほど接続を待たなければならない。

ゴカルナ到着も深夜3時。
4日にわたる長途は人生でも最長。そして今はこの記録が永遠に僕の人生で最長となることを願うのみである。

そういえば、先だってこのブログに「ドラゴンクエスト」のことを書いたら、この旅で出会った友人から「触発されてダウンロードした」と電話で聞かされた。
今40歳の人なのだが、「ドラクエ」に限らずコンピューターゲーム自体が初めてと言う。
興味がなかったという。


「どんぴしゃの年齢じゃないですか⁉ 僕は年齢的に『2』が最初ですから。小学校低学年の時。『2』は『1』の主人公の子孫の王子様が主人公で、他の子孫の王子様やお姫様を探し、船で海を越えて魔王を倒すといった内容なんです」。
「そうなんだ。早く出ないかな。やっぱり有料かな」。

この人の話しで面白かったのは、かぎが見つからず、結局見つからないままレベル30にまでなってしまったという話。
「よく分からなくてさ、レベルが上がればかぎが出てくると思ってひたすらレベルをあげたんだけど…」。
結局30までレベルを上げてもにっちもさっちもいかず、最終的にはネット情報に手を出し攻略したと言う。
腹を抱えて笑ってしまったが、なるほど、僕にとってかぎのありかは、現代人にとって一般教養中の一般教養と思っていたフシがあったけど、初めて「ドラクエ」に手を出した人にとっては確かに難しい謎解きかもしれない。
かぎを手にした時はもはや無敵で竜王も余裕、全然楽しくなかったと言う。
しみじみと「いやぁ、まるで人生とおんなじだなって思ったよ」と語った。
「思い出しましたけど、僕も昔、扉をギラで破壊しようと試みたことがあります」。
ちなみにようせいのふえもメルキドを守るゴーレムを倒してからの発見という。

そして、インドの町を歩いていても、「ドラクエ」に照らし合わせてしまうという話題で盛り上がった。


「今いるバラナシのベンガリートラって、道が狭くて迷路みたいで洞窟みたいなんすよね。モンスターみたいに、犬も猿も牛もぼったくりもたかりもいるし。日本よりはるかに出現頻度が高いから洞窟だと思います」。


「分かる分かる。こっちの猿は顔が黒いんだよ。メイジなんとかみたいなもんか」。
「いやー、場所が変われば出現するモンスターも変わる、まさに『ドラクエ』ですね。しかし、バラナシの敵は強い。竜王城みたい」。
インドとアレフガルド、二つの冒険をしていたということで感想が一致した。
例えばこのブログにアップする写真を撮影するため、宿を出てガンジスへ向かうのもラダトーム城を出てリムルダールを目指すのも大差ないといえる。

孔子は「四十而不惑」と語っというが、40歳にして初めて「ドラクエ」に迷ったこの人の子供のような純粋さで語られる大人の感想はとても面白く、なんだかつられて「ドラクエ」に胸をときめかせた子供の頃の記憶を思い出した。
そして、「思えば、僕の旅の原点は『ドラゴンクエスト』だったと思うんです」という素っ頓狂な告白を始めてしまった。
「僕がことさらフランスが好きなのも、地形がドラゴンクエストに似てるからと思います。日本と違ってどこまでも街や住宅地が続くのではなく、町と町の間にはなんにもなくて。昔フランスの田舎に行った時、まさにドラクエだと思いましたもの」。

さらに続ければ、ばか過ぎる幼少時の僕は、自分には勇者ロトの血が流れているのではないかとすら考えていたフシがある。
どういう産まれ方をしたらこういう妄想が浮かんでくるというのか。我ながらおめでたいにもほどがある。

「まるで人生と同じ」。ロマンチックな言葉だ。
僕はこの旅で人生のかぎを見つけられたのだろうか。

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