Sound of Waves

ゴカルナに着いて最初に宿ったのはOMビーチ沿いにあるRASTA CAFE。

入口にあたるレストランからの眺めが美しい。まあ、ここにある宿からの景色はどこも美しいのだけどね。

で、部屋自体はレストランを抜けて奥まった森に囲まれたスペースにある。

屋根は茅ぶきだけど壁は土壁で、他には同料金で大きめの部屋もあったのだけど、僕の部屋は3畳くらい。

ベッドに蚊帳が吊るしてあることもあって、なおさら自由に身動きできる空間が少なく、電気をつけないと昼でも暗い。

僕はその日、北にあるゴカルナメインビーチまでの約1時間の道のりを試しに歩き、そこでぷらぷら時間を潰し、宿に戻って来れたのは夕暮れ過ぎ。

22時くらいまでは外で小さくギターの音なんかが聴こえたのだけど、もっと夜が深まると波の音しかしなくなる。

狭い上に真っ暗闇の中で黙々と聞く波の音は迫力がある。

眠りについたのは何時とも思い出せぬが、ともかく悪夢にうなされて目が覚めた。

まだ夜。だいぶ眠ったかもしれないし、悪夢はあっという間の出来事だったのかもしれぬ。

多分後者じゃないかな。非常な恐怖に襲われていた。

人殺しなんかが出てくる夢だ。久方ぶりに心底怖い思いをした。

原因は波なんじゃないかなとちょっと思う。

どだい僕は海なし県埼玉の出身で都内に毎日通勤通学していたけどまず海など見ることはなく、人生において波の音がノーガードで伝わる海の直近に宿ったことなど己の10本の指でこと足りるくらいの回数しかない。

そしてかつて3.11、東日本大震災の2週間ちょっと後にボランティアとして訪れた宮城県沿岸の惨状が脳裏に焼きついているからだろうかとも思う。

その夜は珍しく何度もトイレに起きた。

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